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ANYCOLOR社の上場

ANYCOLOR社の上場

Vtuberグループ「にじさんじ」運営のANYCOLOR社が、東証グロース市場へ上場しますね。ファンコミュニティを重視しているとのことで、ファン向けの株主優待も考えられるのかも知れません。中々面白いと思います。

従来ファンは、スーパーチャットやメンバーシップ加入・イベント参加・グッズ購入等で、所謂「推し」とのエンゲージメントを高めていました。ファン向けの株主優待がある場合、これらに、「株式」の選択肢が加わることになります。もちろん、株式を購入できないファン層もいるわけでして、ファン同士の軋みになるような強い施策は行わないと思います。それでも、魅力的に映るファンもいるのではないでしょうか。そもそも、スーパーチャットは、「タレントへの支援 → 活動継続 / リターン」という目的があり、株式に似ているなぁ、と思いました。

事業としては、現状のVtuber業界は、タレントの資質とYouTubeに依存するところが大きく、潤沢な資金があるからと言って、簡単に横展開やスケールするものではないと思っています。スケールする場合は、新規のプラットフォーム的な事業が必要になるのではないでしょうか。加えて、リスクマネジメントやコンプライアンスの観点があり、既存事業の継続目的・VCへの資金返還以外では、上場との親和性は低いと思っています。

同業種として先行上場しているUUUM社との違いは沢山ありますが、「キャラクターIPの保持」という点が特徴ではないでしょうか。多展開が可能であり、また、UUUM社で発生したタレント大量離脱のようなことも起こりにくいかと思います。ただし、Vtuber業界では、「キャラクターIP = 演者」という互いの同一性を重視する、両輪の関係が求められてきています。ドラゴンボール等のような継続して展開可能なIPとは異なり、演者あってのIPでして、演者が活動停止した場合は、そのIPは利用しにくくなるリスクがあります。Vtuber IPは、「従来のキャラクターIP事業」と「芸能・タレント事業」の中間の様な性質があると思っています。

何はともあれ、先のエンゲージメントの点がとても興味深くありまして、既存の上場会社とは異なる動きを見せる印象を受けました。

ちなみに、自分の今の推し箱は、あおぎり高校です。